たとえば,レンブラント・ファン・レインの陰影の光量,パブロ・ピカソのエッヂの削ぎ方。実はそれが数値として明確化できる。似せてつくっても,数値に違いはすぐ現れる。画像に個性があれば,それは学術論文と同じ理論を持ち,検索は容易。
日立製作所は29日,仮想3D空間で,類似の画像を検索できる新技術を発表した。この検索システムは,あらかじめ各画像の色空間分布,濃淡,解像度などのデータを取得しておき,指定した画像と似た画像を探すことができる。検索画面のインターフェイスは3Dを使い,球状星団のように画像が浮かび上がり,その空間を歩き回りながら画像を閲覧できる。
画像というのは探しにくいもの。画像のインデックス(ファイル情報を抽出したもの)の作成というのは,あまり意味を見いだされなかった。ライコス社のマルチメディアサーチ(英語版の方)は,サムネイルも表示されて使いやすいが,いかんせんALTタグの情報だけではゴミも多く,目的の画像以外が出やすい。こんな_感じ_の画像,という要望はかなえられない。
だが,実はテキスト以上に,画像のインデクサ(インデックスの作成)は明確に情報を表す。著名な画家ほど,使用する色空間と,そこからつくられるヒストグラム情報,カラートーン,濃淡などの数値は,一致していくという。すなわち,その人間が作ったものの個性が強く刻まれているということ。夜の風景を描いた絵と昼の風景を描いた絵でも,同様の情報が刻まれている。見た目には_雰囲気_でしか表せないことも,数値として認識できるのだ。これは,写真家や映像作家などの作るものも同様だろう。実はテキスト以上に,検索対象としては面白い。
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